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謝肉祭の道化芝居

「ウィーンの謝肉祭の道化芝居」(Faschingsschwank aus Wien)について。

しつこいですが。(笑)

工房の前の教室にオーストリアに留学されていた先生がいるので、このあいだ、気になってた”Faschingsschwank”について訊いていたのですが、聞き方が悪くて、勝手にFacshing と schwank を切り離して、うろ覚えで「シュバンク?s – c – h – w – a – n – k ?」とか聞いてたら「?????」という反応だったんですけど、昨日あらためて訊いてみたら、Facshingとくっついて活用する前の元の形は「シュベンケ」(schwanke… aはウムラウト)だそうで、日常的にも喜劇とかコントとかの意味でよく使われる語だそうで、やっとですっきりしました。

ausはやっぱり英語でいうfromと同じだそうで、「ウィーン〜」と訳すのはやっぱりちょっと…。

で、全体の雰囲気としては、ハイドシェックがしょっちゅうターニャさんに電話をかける様に(笑)「ウィーンの謝肉祭って、こんな感じであんな感じでね・・・でも、ボクは今ちょっとお喋りし過ぎで疲れた・・・」みたいな、すごく個人的な作品なのではないかと思う訳です。

いわんや、今みたいに携帯から国際電話がかけられる訳でもなく、また、父親の謀略(笑)でクララはしょっちゅう演奏旅行に連れ回されて半分行方不明みたいになっているので、本当なら1日に10通くらい手紙を書きたかったのが、そのまま曲になっているのではないかと思うのです。

なので、もしクララも携帯を持っていて、パケ放題とかでしょっちゅう写メとか送ってたとしたら、この曲は出来なかったと思います(笑)

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うろうろしていたら、ちょうどこの曲を書いた当時にウィーンで描かれたシューマンの肖像画があったので・・・

落書きしてみました(笑)

シューマンの自作自演の道化芝居…

『道化師』(笑)  謝肉祭のロベルトくんの道化芝居 from ウィーン

ウィーンの謝肉祭

まだまだ引っ張ります(笑)

大阪のアンコールで、じつはいちばん耳に残っているのが3曲目の『ロマンス』という曲だったのですが、後になって、何の『ロマンス』なのかわからなくて、magnetさんにお訊ねしたところ、「『ウィーンの謝肉祭の道化芝居』の2曲目のやつじゃないですか?」と教えてもらってすっきりしました。

幸いなことに、この録音が入ってるカシオペのCDが手元にあったので、「あ!これこれ!」と思いながら何度も聴いていたのですが、あるとき、ふと工房の端っこに置いてあるピアノの上を見ると、なんと、そこにたまたま置いてあった楽譜の中にこの曲も入ってて、「おー!」と思いながら1〜2小節目だけ弾いてみたりしてました。

この曲は、冒頭から主題の提示が3回続き、短い曲の中にその主題がかたちを変えながら何度か出て来て、最後はまたそれで終わる…という「しつこい」感じ(笑)なので、「これは何かある」と思わずにはいられず、また余計な詮索を開始したのでした。

とりあえず作曲時期について調べてみると、1838〜9年にかけてウィーンを旅行中に作ったそうなのですが、この時期はクララの父ヴィークに結婚を反対されていて、クララになかなか会えなかったということだったそうで、この段階でもうバレバレです(笑)

そもそもこの曲のタイトルは「ウィーンの謝肉祭の道化芝居」とか「ウィーンの謝肉祭騒ぎ」とか「ウィーンお謝肉祭の道化」とか「ウィーンの謝肉祭」とか、邦題が統一されていなくていまいち意味も曖昧なのですが、曲を聴いている分にはいかにもお祭り騒ぎというものでもないのでなんだか不思議に思いつつ、原題「Faschingsschwank aus Wien」を無理矢理解読してみたのですが、Faschings は謝肉祭として、schwank は冗談とか笑い話の様な意味もあるらしく、aus Wien は ウィーンから…みたいにも訳せるので、謝肉祭の浮き立つ雰囲気を本当はクララと分かち合いたいのに、会うことすら出来ないクララに宛てて伝えようとしている自分を皮肉っている様にも思えます。

で、決定的なのが、この『ロマンス』の主題に含まれる「ド — シ♭ — シ♭」は「c – la -la 」だという説があるらしく、シューマンの協奏曲の「c – h – la -la 」にも例があるので、これはもう、確信犯ですね。という結論にたどり着きました。

今回のメインディッシュのひとつだった『子供の情景』も実は同じ頃に作曲されているので、これをふまえて(笑)もう一度じっくり聴いてみたら面白そうな気もします。